ヌコ無縁の創作活動のブログ

ヌコの呟きや日常の投稿が中心になります!

七夕

今日は七夕…

 


僕はもう一度会いたくて、

短冊に願いを書く…

 


『彼女にもう一度会えますように…』と。

 


何年前のことだろうか…

彼女と二人で星を見に行ったのは…

 


あの日彼女が消えてから、

僕はもう数年以上彼女とは会えていない…

 


やはり、

もう一度会うことは難しいのだろうか…

 


彼女はあの日言った。

また「戻ってくる」と…

だから僕は彼女に会えると信じている…

 


こうして、

願いが叶うかもしれないのであれば、

その可能性を少しでも信じたい。

そう思いながら、

書ききった願いを笹に吊るす…

 


そして、僕は「ある場所」に向かった…

 


………………………

…………………………………………

……………………………………………………………

 


僕は「ある場所」に着いた。

 


「ある場所」とは、もちろん、

「あの日」彼女と星を見た場所である。

 


『ここに来れば、会えるような…

そんな気がするんだ…』

 


彼がここに来るのは今日に限らず、

去年も一昨年も、その前の年も、

ずっと来ているが…

彼女に会えた訳ではなかった。

 


それでも、彼は会いたくて、

毎年ここに来る…

 


何故、いつもこの日なのか?

 


それは、星を見た日が、彼女が消えた日が、

七夕の日だったから。

 


そして、ここに来れるのは今日で最後になる…

理由は、家庭の事情でこの土地を離れないと

いけなくなったから。

 


今年はあの日、彼女が消えた時間までいることが出来る。

 


…………………

……………………………………

……………………………………………………………

 


「全く君ってやつは…

会えるかどうかもわからない私のために、

何年も何年も、ここに来てくれるなんてな。」

 


気が付けば、彼女はいた。

 


『□□ちゃん!』

 


「随分と長く待たせちゃったね…

ごめんね。■■■くん!」

 


『よかった…最後に会えて…』

僕は彼女に抱きつきながら言った。

 


「そっか…最後になっちゃったか…」

 


『僕…

引っ越さないと行けなくなっちゃって…』

 


「やっと、私が会えるようになったら、

今度は君が行っちゃうんだね…」

 


『ごめんね…』

 


「君が謝ることじゃないよ!

二人で星を見よ!」

 


『うん。』

 


僕達は手を繋いで、空を見た。

空は『あの日』と何一つ変わらず

輝いていた…

 


「あ!流れ星!」

彼女が指を指して言う。

 


前言撤回。

今日見た空は、『あの日』よりも綺麗だった。

 


………………………

…………………………………………

………………………………………………………………

 

 

 

                                                     おしまい